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田﨑孝平・英里たさきこうへい・ えり さん
2012年1月 Iターン
出身地:千葉県浦安市(孝平さん)
    東京都中央区(英里さん)
現住所:津山市阿波
職 業:カフェレストラン経営(現在休業中)

津山は、いろんな人とつながりやすい地域だと思います。

関東出身のお二人が、津山市阿波へ移住した経緯

孝平さん:2011年に起きた東日本大震災をきっかけに、阿波に移住しました。僕はもともとイタリアンとフレンチのコックで、津山に来る前は有機野菜を扱っている築地の八百屋で働きながら、卸や営業を学んでいました。将来的には、千葉近郊で作物をつくりながら自分のお店を持ちたいという構想があったんですけど、震災のことがあり、迷いが生まれました。

情報もいろいろ錯綜している中で、僕たちの周りの方々が続々と岡山に移住しはじめたんです。それで《岡山に移住》という選択肢が出てきて、「まずは行ってみよう!」と家族で岡山一周企画をしました。先に岡山へ来られていた方たちと情報交換する中で、「阿波というところがあるよ」と教えてもらい、すぐに行ってみました。

1月末の阿波だったので、雪がすごかったんですよ。僕は田舎で暮らすことに憧れを持っていたので、阿波に向かう道中もすごくわくわくして、「こういうところいいな」と思ったんですけど、彼女はちょっと違ったみたいです(笑)。

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英里さん:私、雪があるところが苦手で(笑)。県北よりも、「晴れの国・岡山」の象徴みたいな県南がいいなと思っていました。家族で岡山に来たとき、先輩移住者のところに泊まらせてもらったんですけど、そこで【阿波】というキーワードが何度も出てきたんです。

その前からも、SNSで目にした【阿波】のことがなぜか私の中ですごく気になっていて、住むつもりも住む予定も何もないのに、地図で調べて「駅からこんなに遠いんだ」とか、勝手にシミュレーションしていました。阿波にはじめて来たときも、「ちょっと寄ってみようか?」のつもりだったんですよ。それなのに、「ここだよ、ここに住むんだよ〜」っていう声がどこからか聞こえてきて(笑)。不安や迷いもあったんですけど、何か逃れられない運命を感じたんです。

ーー長年都会にお住まいでしたが、田舎暮らしのイメージは湧きましたか?

英里さん:それが全然湧かなくて、私の友人たちからは「英里は半年か1年で絶対戻ってくる」って断言されていました(笑)。地元が大好きですし、震災がなければ離れることはなかったと思います。

カフェレストラン古民家「おおきな木」について

ーーどういった経緯で開業されましたか?
孝平さん:移住してきたばかりのときは集団給食の職員として働いていたんですが、阿波にある囲炉裏焼き「あなみ」の社長さんからお声がけいただいて、キッチンに立たせていただくことになりました。地元の人が作った野菜や山のものを料理していく中で、素材の持つ力強い美味しさというものをすごく感じたんです。阿波の素材を使って、自分が責任を持つお店をはじめたいという想いと、築150年の古民家を貸していただけることも重なり、平成27年の12月5日に【カフェレストラン古民家〜おおきな木〜】をオープンしました。

▼カフェレストラン古民家〜おおきな木〜(津山市阿波2846)
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▼古民家の雰囲気が落ち着く店内。
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ーー店舗名の由来はなんですか?
英里さん:シェル・シルヴァスタインの『大きな木』という絵本にインスパイアされました。絵本に出てくる大きな木のようにはできませんが、私たちの【おおきな木】に来てくださるお客さんみんなが安らいでくれたらいいなっていう想いがあります。ロゴマークは大きな木じゃなくて、あえて苗木にしているんです。「まだ苗木だけど、いつか大きな木にみんなでなっていこう」という気持ちを込めています。

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ーーおおきな木のコンセプトを教えてください
孝平さん:ファーム・トゥ・テーブル、ローカル、ナチュラルという言葉で言ったりしているんですけど、つまるところ、目の前にある素材をどう使うかということに一番重心を置いています。決まりきったメニューに決まりきった材料を使うのではなくて、僕の目の前にある阿波や加茂などの地域でとれた津山産の素材たちを使って、料理を完結したいという意識をすごく大事にしています。

例えば、うちで出しているメニューのひとつ「上大漬(かみだいづけ)のスパゲッティ」はすごく個性的なんですけど、地元の上大地区の漬物と阿波のお母さんのお味噌でつくる僕のすごく大切な一品です。

▼上大漬のスパゲッティ。瓶詰めの販売もされています。
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英里さん:上大漬って作るのがすごく大変で、1年くらいかかるみたいです。だからつくり手が減ってきちゃっていて、加茂の「かもふれあい市」という直売所か、生産者の方から直に購入するかしかないんですよ。初めて上大漬を食べたとき、衝撃的な味と辛さで、くさや好きの私たちにとってはドンピシャの味でした!うちの上大漬のスパゲッティが癖になっているお客様もいらっしゃいますよ。

ーー新しく取り組まれていることはありますか?

孝平さん:昨年、ジビエペットフードの商品化をしました。人間の都合で害獣とされてしまうイノシシやシカに、敬意と感謝をもって余すことなくいただけることにつなげていければと思っています。

英里さん:美味しく澄んだ空気と水に育まれた阿波のジビエペットフードが、ペットたちの健康をとり戻すことになれば嬉しいですね。店内でも販売していますし、オンラインショップでは全国にお届けすることができます。

▼おおきな木で作られた「ジビエペットフード」
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津山での暮らしについて

ーー津山の地域性はどう感じましたか?
英里さん:私の印象なんですけど、津山って土地的には広いのに、人のつながりが狭いんですよ。これだけ広かったらいろんなグループがあると思いきや、みんな横でつながっていて、「阿波の誰々さん知っている」みたいに誰かとつながっているというのがすごく多くて。最初は「悪口言えないな」とか思ったんですけど(笑)、誰かの知り合いなら信頼感がありますし、お互いの距離が近くなる時間が早くなるのでいいですよね。津山は、いろんな人とつながりやすい地域だと思います。

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ーー子育てについては?
孝平さん:田舎に住んでいるので、「子育てにいい環境だね」とよく言われます。自然豊かで環境がいいことは確かなんですけど、子どもたちのすることは習い事とかゲームとか、千葉に住んでたころとあまり変わらないんですよ。僕たちみたいな親の世代が山と川からはもう離れちゃってるのに、子どもたちが山や川で遊ぶことは暮らしとつながっていかないですよね。

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英里さん:私がもっと山ガールになって、蛇がいようが大きい虫が出ようがひるむことなく山に入っていけば、子どもたちにも「これが危ない食べものだよ」とか「これは摘めるよ」とか教えてあげられるんでしょうけど、私がそもそも何も分かっていないから(笑)。

孝平さん: 子どもたちと一緒に自然の遊びをしていくなら、「自分たちが本当に楽しくて、やりたくてしょうがない!」みたいにならないとなって思います。沢登りをしたりとか(笑)。

英里さん:今まではバタバタと余裕がなさ過ぎて、田舎暮らしを全然満喫していないんですよ。ようやく最近、阿波で暮らすことの魅力が分かってきたところです。6年たってますけど(笑)。

津山に移住を検討されている方にメッセージ

孝平さん:来たいと思っているんだったら、もう来ちゃったらいいと思います。迷っていたとしても、来ちゃった方が正解ですよ。

英里さん:阿波限定で言うと、ここは多分引き寄せの力がすごい強い場所だと感じています。やりたいこととか会いたい人とかを願うと、かなう力があるので不思議。ただ、過疎地で生活をすることになるので、田舎暮らしにポジティブな感情があって、雪が大丈夫だったら、阿波はすごくオススメです。

私たちは移住して6年目になるんですけど、少し前までは「地元に帰りたい」と思っちゃう時も正直ありました。でも最近は「向こうに帰って、私何ができるの?」って。どこかの企業に雇ってもらうことしかできないよねという。

孝平さん:向こうに帰ったら、今みたいな充実した日々を過ごせなくなるだろうね。

英里さん:ここだったら、何かしようと思えばできるかもしれないという可能性を感じるんです。助けてくださる方がいるから思えているだけの話なんですけどね。それがなかったら、とっくに地元に帰っています(笑)。人のおかげですね。本当に感謝しています。

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