現在の活動について

（芳純さん）
2001年に阿波へ移住して生活をする中で、移住者の気持ちや阿波での生活のこともわかるので、いろいろな相談を受けてきました。今は移住・定住相談員として、例えば、阿波に移住した方の「畑を持ちたいんだけど、どうしたらいい？」という相談には、できる限り一緒になって解決しています。移住を考えている方には阿波がどんなところか説明をしたり、津山周辺の観光や案内もしています。
（きみ子さん）
今現在、仕事としては無職なのですが、地域の活動をはじめ、老人会、津山市の愛育委員、更生保護女性会などでバタバタとしています（笑）。阿波で愛育委員というのは、8地区2名ずつで16人います。その中で支部長という役を引き受けさせもらっているので、津山市内に出かけることは結構多いですし、たまに岡山市の講演会や会議に出ています。

阿波に移住した経緯

（芳純さん）
田舎暮らしは早くからするつもりでしたが、最初から岡山県に移住しようとは考えておらず、和歌山県・福井県・奈良県などいくつか移住先を見て回っていました。そんな中、“田舎暮らし”の本に載っていたある不動産会社に目がとまり、行ってみたんです。そこで「岡山の物件が1軒あるんですけど、見られますか？」と紹介されたのが、今私たちが暮らしている古民家です（笑）。物件はこれまでに何件も見て来ましたが、お互いに「ここがいい。」という不思議な感覚で即決しました。古民家は住めない状況ではなかったのですが、より暮らしやすいよう壁に珪藻土を塗ったり、自作のドアを付けたりなど、自分達で手を入れることでさらに愛着が湧きました。阿波にはまだ古民家の空き家がたくさんあるので、DIYが好きな移住者の方に楽しんでもらいたいです。

（きみ子さん）
田舎暮らしをするのは、定年後の話しだとばっかり思っていました（笑）。最初この古民家を見に来た時は、ちょうど11月の終わり頃で、もちろん稲刈りは終わっていて、あちこちで「すくも」というもみ殻を焼く煙が立ち上っていたり、吊るし柿がぶら下がっていました。ご存じないかもしれないですけど、ずっと昔『週刊新潮』という雑誌の表紙絵に谷内六郎という画家が挿絵を描いていたんです。その絵というのが、日の当たる縁側でおばあちゃんが孫と一緒に遊んでいるところとか、軒下に吊るし柿がぶら下がっていたりとか、本当に日本の昔の田舎の風景で、一番最初に阿波へ来た時、まるであの絵の世界のようだと思いました。岡山県の地理や村のこととか全然わかっていなかったので、「阿波は岡山の北東の端っこで、鳥取県との県境」というのは、下見後、家に帰ってから地図を見て知ったんですけどね（笑）。

移住者へ向けてのメッセージ

（芳純さん）まず、人とのつながりを大事にすることだと思います。それと同時に、自分のやりたいことをしっかりとする。周りとコミュニケーションをとるためにも、自分の考えや価値観を出してみるのが意外と大事なことです。そして、田舎に移住してくるなら“心の安定”を最優先にしたらいいと思います。
（きみ子さん）
移住先の地域に溶け込もうと思うのなら、その地域の人が大事にしている価値観を尊重する姿勢が大事だと私は考えています。田舎はのんびりした時間が流れるイメージがあると思いますが、地域の行事などで意外に忙しいですよ（笑）。