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11月4日~6日の二泊三日で「二地域居住体験モデルツアー」を開催しました。
二地域居住体験モデルツアーは、岡山県が主催し、一般社団法人岡山県地域おこし協力隊ネットワークの運営で、岡山県内3カ所で実施する取り組みです。
都市部に住む方が各地域にショートステイし、その地域の方とつながりを持つことで、長期的に地域に親しんでもらうきっかけとなることを目的としています。
今回は、津山市城西地区を舞台にした、二地域居住体験モデルツアーin津山をレポートします。
Day1 旅のはじまり
二泊三日の旅は、城西地区の中心部にある「津山城下町歴史館」から始まりました。
ここで、三日間をともにする旅の参加者たちが顔合わせ。運営職員を交えて、それぞれ自己紹介をしました。
ツアーには、関西や関東から9名が参加。パートナーや友達と一緒に参加された方、おひとりで参加された方、移住先を検討中の方や、津山という土地に興味がある方など様々でした。
ツアーコーディネーターからツアーの趣旨や行程の共有などがあり、準備を整えて、最初の目的地「作州民芸館」に向かいます。
秋の晴天のもと、二泊三日の移住体験ツアーがスタートしました。
Day1 城西地区の歴史とまちづくりを学ぶ
作州民芸館は、明治42年に建てられた銀行をほぼそのままの形で活用した、観光・研修施設です。
1階には、地元野菜やお弁当が並ぶ直売スペースとカフェスペースがあり、その傍らにこの地域の民芸品や郷土玩具も展示されています。
2階は多目的室になっており、今回はここで、城西地区の歴史とまちづくりを学びました。
講師は、津山市歴史まちづくり推進室の乾さんと、城西まちづくり協議会の佐々木さん。お二方とも城西地区の歴史や暮らしに精通されており、まちの成り立ちや最盛期の様子、地区の特産品や観光地としての未来像をお話しくださいました。
Day1 城西地区を歩く
城西地区の歴史や暮らしを学んだあと、乾さん案内のもと、城西地区のまち歩きをしました。
城西地区は、津山城址の西側にある寺町を中心とした地区で、明治時代以降は津山のまちの玄関口でした。たくさんの旅人や商人が行き交い、商家が軒を連ねていたそうで、いまでもその面影を見ることができます。
また、城西地区には、宗派の異なるお寺が隣り合っていて、15カ寺が寄り集まっています。なかには江戸時代初期から400年以上続くところも。
「寄り集まっている」といっても各寺院の境内は広大で、それぞれが独特の世界観を形成しています。荘厳な山門や本堂など、見どころがたくさんでした。
まち歩きを満喫し、ゴール地点に向かっていると、焼きいも屋さんが声をかけてくれ、焼き芋をごちそうしてくれました。
城西地区で採れたサツマイモは丁寧にじっくり焼かれていて、とても美味しかったです。
ご主人の親切に、体も心も温もりました。
Day1 参加者交流会で情報交換
今回のツアーは「人と触れ合う」をテーマにしています。ツアー参加者と地域の方との触れ合いだけでなく、参加者の方同士でも交流してもらいました。
会場は、城西地区にある「NishiIima25(ニシイマヴァンサンク)」。古民家を改装したギャラリー併設のカフェに、気分が上がります。
「NishiIima25(ニシイマヴァンサンク)」を運営する櫻井由子さんの移住者の声はこちらからご覧ください。
ツアー初日は、城西地区の歴史や文化を頭と足で学ぶ、濃密な時間でした。
21:00に解散し、各自明日に備えて早めに体を休めました。
Day2 サイクリングツアー
ツアー2日目も、「津山城下町歴史館」からスタート。参加者は案内人のもと、津山のまちをレンタサイクルで巡ります。
コースは、城西地区のお寺をまわる「お寺巡りコース」、津山城などの観光地をまわる「観光地巡りコース」、商店街を探索する「穴場巡りコース」の3つ。
裏道を通ったり、細い路地を抜けたり、吉井川の土手を走ったりして、まちの雰囲気を肌で感じました。
「お寺巡りコース」チームは、城西地区にあるギャラリー&カフェスペースで宿泊もできる「nishiima25(ニシイマヴァンサンク)」に立ち寄り、オーナーの桜井さんに建物内を案内していただきました。
江戸時代の商家だったnishiima25には、立派な中庭や襖絵があり、桜井さんや気鋭のアーティストが手掛けた現代アート作品との融合が素敵でした。
昼食は、城西地区の象徴的なお寺である本源寺の本堂でいただきました。
地域の方が地域の食材をメインに作ってくださったお弁当です。
Day2 マニアックツアー
午後からは、津山おくにじまん研究会 前会長の藤木さんの案内で、城西の建物の見どころを詳しく解説してもらいながらまち歩きをしました。
続いて、徳守祭だんじり若頭會の廣本さんに、津山の城下町を守護する徳守神社と、徳守神社のお祭りで出動するだんじりとお神輿について、お話しいただきました。
この日の最後は、本源寺住職の華山さんに、城西地区のお寺について、仏教の教えにも触れながら解説していただきました。
初日、二日目と色々な方の案内でまち歩きをしましたが、案内人の方がそれぞれ違う視点で解説してくださるので、同じものを見ても、感じることが毎回違い、新しい発見がありました。
Day2 地域の方との交流会
締めくくりは、1日目に城西地区の歴史と町づくりについて学んだ作州民芸館で、地域の方との交流会。そずり鍋・ちらし寿司・お漬け物など郷土料理を囲みながら、津山の印象・ツアーの感想・名物などなど尽きない話で地域の方との交流を深めました。
自転車で路地を抜けたり、視点を変えて建物を観察したりと、新しい出会いや発見の多い2日目でした。
明日は3日目。いよいよツアー最終日です。
Day3 座禅プログラム
3日目は、長安寺の座禅体験から始まりました。
シンと静まった空間で、内なる自分と向き合う30分。和尚さんの規則的な足音が、より深い瞑想へと導きます。
座禅終わりには、参加者全員で本堂を掃除し、お茶をいただきました。
住職から「人と会うというのは、他者と交流するだけでなく、自分自身と会話することも含まれる」という旨の説法に、新たな気づきを得た参加者もいたようです。
城西浪漫館に移動してモーニングをいただき、作州民芸館に移動します。
Day3 活動成果発表会
この3日間のツアーで見つけた城西の魅力を発表しあう活動成果発表会を行いました。
活動成果発表会はAチーム、Bチーム、Cチームの3チームに分かれて「城西のフォトスポットとしての魅力」「将来に残したい建物・環境」「印象に残った人・言葉」をそれぞれチームで共有し、発表しました。
■「城西のフォトスポットとしての魅力」
お寺の荘厳な山門や本堂、江戸時代にタイムスリップしたような街並み、徳守神社の金のお神輿などが、多くの参加者の方が「美しい」と感じられたようです。
城西の美しさの表現として、東京から参加された方が言われていた「城西は朝日にも夕日にも綺麗に照らされる『光のまち』。高い建物がなく、まっすぐ伸びた大通りに差し込む光は清々しく、誰が撮っても美しくなる」という言葉が印象的でした。
また、「まち歩きの前に歴史を教わったことで、まちのかたちがはっきり見えた」という意見もありました。
■「将来に残したい建物・環境」
徳守祭りに注目した意見が多く、徳守神社のお祭りで出動する芸術的なだんじりや神輿、神様を大切に思いながらお祭りを楽しむ文化、神輿を担ぐときの掛け声「わっしょい(※)」の通りみんなで祭りを完成させようという一体感などを、将来に残したい(自分たちもその一員として参加したい)と感じられたようです。
※わっしょいは「和っ背負い」と書き、みんなでひとつの目標に向かって力を合わせるという意味があるそうです。
■「印象に残った人・言葉」
お寺巡りや座禅体験で、和尚さんの人柄や聞いた言葉が印象に残ったという方がたくさんいました。
特に座禅体験ははじめての方が多かったようで、
「和尚さんの説法を聞いて、はっとした」
「自分と向き合う場所を見つけられた」
「生活の中に『お寺』を取り入れたい」
といった意見がありました。
また、2日目の地域の方との交流会で、城西での暮らしのことを教わったり、人生の先輩に相談に乗ってもらったりした方は、「この城西で暮らす方々と繋がりを持つことができてよかった」と言われていました。
Day3 旅の終わり
活動成果発表会をもって、「二地域居住体験モデルツアーin津山」は終了しました。
作州民芸館で解散し、参加者の方々はそれぞれ岐路についてゆきます。
たった三日間でしたが、城西の歴史や文化を学び、暮らしを知り、ひとと繋がった参加者の皆さんは、いずれ、なんらかの形で城西というまちを思い出し、関係を持ってくれると思います。
「このまちが好きになりました。また来ます!」と、笑顔で、名残惜しそうに言ってくださった言葉が、とても印象的でした。